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装丁から文芸誌の誌面デザインまで手掛ける長﨑さんが考える、ブックデザイナーに必要なこととは?

-長﨑さんがブックデザイナーになったきっかけを教えてください。
子供の頃は、そんなに本を読むタイプではなかったんです。本を読み出したのは、短大の通学に2時間かかったんですけど、その時間を使って本を読もう!ってなったのが始まりなので、ブックデザイナーとしてはちょっと遅めかも知れません。

でも、デザインというか、ものをつくること自体は好きでしたね。短大ではデザイン系のゼミに入ったんですけど、その時にワークショップの一環で初めて「装丁」を体験したんです。作ったのは写真集で中面の構成・デザインはもちろん、表紙や見返しの紙を竹尾に選びに行ったりもしました。そこで楽しいなと思ったのがきっかけで、卒業後にデザインの専門学校に入りなおしました。その頃にはもうブックデザイナーになりたいという思いがあったんですが、先生からは心配されていましたね。やっぱり狭き門というか、厳しいイメージがあったので……それでも最終的には応援してくれる人はいたので、ブックデザインの道に絞って頑張ってみようと思いました。

-その頑張りが実を結んだ形ですね。
最初に入った会社では、主に情報誌のデザインアシスタントをしていたんですが、本当に色々な雑誌を見て研究していました。新卒で、とにかくエネルギーが溢れていたので(笑)。bookwallでも、文芸誌など誌面のデザインをすることが多いので、その頃の経験は役に立っていると思います。
 
 
-エディトリアルデザインの知識と経験が活きているんですね。長﨑さんは装丁も担当されるかと思いますが、そちらの方は実際にやってみていかがですか?
 
bookwallでは各々が担当するゲラに必ず一度は目を通します。そうするとやっぱりこちらの思い入れも強くなります。編集者の方や、作品によってはイラストレーターさんと打ち合せをして共有したイメージが徐々に出来上がっていって、最終的に本の形になった時はやっぱり嬉しいですね。その上でコミュニケーション能力は絶対的に必要だと思います。私は人見知りをしがちなので…(笑)その辺りは松さんや他のスタッフを見習いたいなと思っています。

 

 
-デザインの技術だけでなく、コミュニケーション能力も重要なんですね。
 
そうですね。ディレクター的な能力といったほうがいいかもしれません。進行管理を含めて、担当する冊数が増えるとどうしても松さんに頼ってしまう部分も多少あるので、一人でも案件を進められるようになっていきたいと思っています。
 
-普段の情報収集などはどのようにされていますか?
 
時間があればとにかく書店に行きます。中面も含めて本を隅々まで見ていると、例えばこの書体を他でも見たなって気づくことが結構あって、その書体が使われるデザインのジャンル共通のイメージが見えてくるんです。あとは好きな装丁家さんもたくさんいるので、それを見て良いなって思うデザインを常に更新するようにしています。

あ、でも私が入社するとき、松さんに「長﨑さんには本だけじゃなく、色々なものを見てデザインに活かしてほしい」って言われたんですよ。その時は正直「なんで?」って思ったのですが(笑)、実際に色々なデザインに触れてみると、「この表現を本に落とし込んだらどうなるだろう?」と考えられるようになってきましたね。

専門学校の友人は、それぞれWebや広告など違った領域のデザイナーが多いのですが、彼女たちとの話もそういった視点を持つと刺激になります。展示系のイベントなど、他にもたくさん参考になるものがあると思うので、自分なりの視点を持ってデザインに活かしていけたらと思っています。

デザイナー 長﨑 綾
1989年生まれ。神奈川県出身。東京デザイナー学院グラフィックデザイン科グラフィックデザイン専攻卒。好きな作家は辻村深月さん。