この時期、いろんな出版社で行われる夏のブックフェア。そこでbookwallで装丁を担当した本の中から、夏にぴったりな本を10冊、デザイナーのコメントとともにご紹介! 夏休みやお盆休みにぜひ読んでみてください。
『あの夏、二人のルカ』 誉田哲也 著(角川書店) 装画:浦上和久
【デザイナー長﨑’sコメント】
誉田さんの著作の中でも、めずらしい雰囲気のカバーです。
カバーは浦上和久さんに谷中の街を描いていただきました。表1側は夏と青春のさわやかなイメージ、表4側は夕暮れと、見比べてみても面白いです。
帯はメインのキャッチを大胆に配置、文字の一部を欠けさせたりして、青春の痛みや謎めいた感じを出すようなデザインにしています。
『骨を弔う』 宇佐美まこと 著(小学館) 装画:西川真以子
【デザイナー上原’sコメント】
この夏、イチオシのミステリー(編集者さんも激推し中!)。
西川真以子さんの迫力のイラストに、リュックだけに色をつけて意味深に目立つようにしました。タイトルもイラストに負けない強さを出しています。
カバーをとった表紙は、草むらのアップです。
『沖縄オバァの小さな偽証 さえこ照ラス』 友井羊 著(光文社) 装画:田中寛崇
【デザイナー長﨑’sコメント】
沖縄の法テラスが舞台のミステリー。夏らしい青い爽やかなカバーです。
イラストの構図が少し謎めいていてミステリー感を演出しています。
帯には沖縄そばを入れて(少し沖縄ガイドっぽい!?)アイキャッチにしました。
表紙は紅型模様で沖縄らしさを出しています。
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『ぞぞのむこ』 井上宮 著(光文社)
【デザイナー上原’sコメント】
夏にぴったりな「町ホラー」です。さまざまな写真を検討した結果、金網越しのマンションをメインビジュアルにしました。
不気味で印象的なタイトルを目立たせるようにしています。(よく見ると1文字目と2文字目の「ぞ」の形が違うんですよ……!)
カバー下の表紙や扉はコンクリートっぽいイメージの紙を選び、手形をペタペタと。デジタルだけでなく、アナログな手法も取り入れて工夫しています。
【デザイナー村山’sコメント】
山が舞台の日常ミステリー。山の空気や爽快感を感じるさわやかなカバーにしました。
帯の『×』がよくみるとトレッキングステッキになっているのがポイント。
扉には物語でもキーになっている指導標をあしらいました。
紙も全体にアースカラーで、1冊まるごと山を表現しました。
『君と夏が、鉄塔の上』 賽助 著(ディスカヴァー文庫) 装画:栄太
【デザイナー築地’sコメント】
鉄塔の上にいるものはあえて描かずに、上を指差している子供で、気になるようなデザインに。
帯は著者の賽助さんの手描きの文字を元に、デザインを再構成しました。
『YAブックガイド2』 金原瑞人、ひこ・田中 監修(ポプラ社) 装画:丹地陽子
【デザイナー築地’sコメント】
10代に紹介したい本を集めたガイド本の第2弾! 第1弾のは赤系の色イメージだったのでこの本は青くさわやかなイメージに。
カバーを広げると圧巻の本棚は、丹地陽子さんのイラストです。
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『こんぴら狗』今井恭子 著(くもん出版) 装画:いぬんこ
【デザイナー築地’sコメント】
金比羅山をイメージして、全体に黄色をふんだんに使って縁起の良いイメージに。
いろんなところに犬の足跡をつけて、主人公である犬のムツキが本全体を歩き回っているようなイメージにしました。
『兄ちゃんは戦国武将!』佐々木ひとみ 著(くもん出版) 装画:浮雲宇一
【デザイナー築地’sコメント】
水色、黄色、赤の3色をメインに使って、児童書らしく元気よく。
化粧扉は登場人物紹介も兼ねたレイアウトにして、漫画のようにとっつきやすく楽しい雰囲気にしました。
伊達政宗のトレードマークである三日月をあちこちに使っています。
『猫町くんと猫と黒猫』 樒屋京介 著(小学館) 装画:宮崎ひかり
猫、猫、猫、猫づくしの不思議なタイトル。
舞台となる尾道の風景を、猫の視点で描いてもらいました。魚眼レンズで覗いたような歪みがさらに不思議さを引きたてています。表4側は誰なのか……それは読んでのお楽しみ。
装画の宮崎ひかりさんがこの装画のメイキングを公開しています。こちらもぜひ見てみてください。 →宮崎ひかりさんのメイキングを見る