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デザイナーの村山です。少し前にお休みをいただいて台湾に行ってきました。そこで気になる外国の本事情。
台湾の書店にはどんな本が並んでいるのか? 装丁は? 日本の本との共通点は? そしてどんな違いがあるのか?
台湾の書店や本について、2回に渡ってレポートします!

まず行ったのが誠品書店。代官山蔦屋書店のモデルともいわれ、有名ですね。

現在は台北市内に4店舗を展開し、書籍のみならず、カフェを併設し、ライフスタイル雑貨、ファッションなども集積させた流行の発信地です。書店部分は台湾で初めての24時間営業書店となっています。

今回行ったのは信義店と敦南店です。

広いスペースには日本の書籍の翻訳本もたくさん並んでいます。
日本の書店と同様に、新刊や話題本を集めた【平台】と、既刊がずらりと並んだ【棚】があります。小説の平台はざっと見た感じ5~6割は日本の書籍の翻訳版のようです。

全体的に日本の本は《エンタメ》を意識した派手目のデザインが多く、台湾の本は《文学的》な雰囲気で静かなものが多い印象です。これは売り方の違いなどもあるのかもしれません。

日本の小説の翻訳ものだと、表紙カバーのデザインやイラストなどは、日本と同じものもあれば、がらりと違うものもあります。

東野圭吾さんコーナー。どどんと平積みされています。

 

田中圭一さんの『うつヌケ』は日本版のデザインとほぼ同じ。
Twitterから話題になった『もし文豪たちがカップ焼きそばの作り方を書いたら』の翻訳本も。日本版と同じく田中圭一さんのイラストを使いつつ、鉛筆がラーメンのお箸になっているというちょっと捻ったデザイン。
しかし日本語での文体模写が魅力のこの本、果たして翻訳してその魅力や面白さは伝わるのか……? 
帯の文句もなんとなく漢字なので意味がわかって面白いですね。

 

日本でも大人気だったドラマ・カルテットのシナリオ本。

 

遠田潤子さんの『雪の鉄樹』。(私も夢中で読みました!)
日本版はしんとした冷たさを感じる写真が印象的なカバーの文庫でしたが、台湾版はA5サイズの大判で、イラストが使われています。

 

台湾の書籍、日本と異なるのが本のサイズです。
日本では現在は四六判(128×188mm前後)、文庫判(100×150mm前後)、新書判(115×175mm前後)の3サイズが主流ですが、台湾の書籍はほぼ1サイズで、A5サイズ(148×210mm)のものがほとんど。日本の書籍よりやや大判です。持ち歩くにはちょっと大きくて重いかも?という印象。
持ち運び、通勤などの移動中に読んだりというよりは、家でじっくり読むことの方が多いのかもしれませんね。

 

共通点としては、台湾の本には、日本と同じようにほとんどの本に帯が巻かれています。
帯はカバーだけではわからない内容の一部や魅力を紹介したり、広告的な役割を果たしますが、海外の本では帯がないことがほとんど。
帯をつけて売るのは日本独自のやり方ですが、最近では台湾や中国の書籍でも帯を巻くのが広まっているようです。

ちなみにbookwallでは帯のデザインには力を入れています! より本の魅力が伝わるように、カバーと相乗効果を生むようなデザインを意識して作っています。 

 

さて台湾の本の紹介に戻ります。
いくつかの本を見ると目立つ「79折」のマーク。シールで貼られているのですが、気になりますよね。


これは21%値引きのこと。79折は21%OFF、75折は25%OFFです。
台湾の書店では本の割引があるのですね。

 

なんだか面白そうなカバー。ミステリー・サスペンス好きとしては思わず気になってしまいます。洋書の翻訳ものでしょうか。

 

つづいてビジネス書・実用書の平台コーナー。

左:人工知能に関連する本は台湾でも人気のようです。
右:大ヒットした自己啓発本、アドラーの『嫌われる勇気』『幸せになる勇気』は、日本と同じく、青と赤が基調のデザイン。

実用書。左は和田秀樹さんの『感情的にならない気持ちの整理術』、右は西多昌規さんの『引きずらない人の習慣』ですね。
感情に振り回されずに過ごしたい……という思いは日本人も台湾人も共通なんでしょうか。

 

bookwallのキャラクターが鹿なので、なんだか気になって、パシャリ。

 

場所は変わって台北の松山空港内の書店へ。
ちなみに台湾のメイン国際空港といえば桃園空港なのですが、こちらの松山空港は電車で10分ほどで台北市街に出られるので、時間を有効に使いたい方におすすめです。(ただし空港が小さいためお土産屋さんは少なめなので、買い物は街で済ませてから空港に行きましょう!)

国際線の出発ロビーにある書店。やはり日本の翻訳本がこちらにもたくさん並んでいました。

宮部みゆきさんコーナー。

ドラマ化もされた宮部みゆきさんの小説・杉村三郎シリーズ。日本では杉田比呂美さんの装画でおなじみですが、台湾ではサスペンスフルな表紙になっていました。
写真は「名もなき毒」と「ペテロの葬列」。モノクロのリアリティある写真に、血を思わせる赤のインクが事件の匂いを濃く醸し出しています。

 

bookwallで装丁を担当した住野よるさんの『君の膵臓をたべたい』『また、同じ夢を見ていた』の台湾版はどうなっているかというと…… 

日本版のデザインの雰囲気を踏襲しています。『君膵』はイラストのトリミングが変わっています。
日本語タイトルも併記されているのが面白いですね。

 

村上春樹さんの『騎士団長殺し』。台湾版はこんな感じ。

 

 

後編では、さらに細かく台湾と日本の本の作りの違いなどを見ていきます。
【台湾 書店&書籍レポート 後編】へ続く