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江戸川乱歩の「少年探偵団シリーズ」から『みんなの少年探偵団2』、『みんなの怪盗ルパン』の文庫スペシャル帯のデザインを担当された八木さんにデザイン制作秘話をお聞きしました。

─カバーとダブルカバーにも見える全面帯、イメージが全く違いますが、どこからこのようなアイデアが出てきたのでしょうか?また、どうしてこのデザインにしたのでしょうか?

みんなの少年探偵団、みんなの怪盗ルパンは、まず担当編集の方から、作家のみなさんが豪華ということもあり、とにかく目立つようにという要望がありました。
(左:カバー、右:全面帯)
あとは少年探偵団2とルパンが対になるようにと。なのでそこは色味で表現できればと考えていました。 
 

─はじめからこのようなデザインだったのでしょうか?

全く違っていて、四六判で出版されてるデザインと同じ延長線ですね。シルエットのイラストで世界観を表現できればと考えていました。ルパンだと、お城があってその背景に月が見えて、コウモリが飛んでいる…とか。
ラフデザインが完成してもう一度、考えてみたんです。本当に方向性があっているのか引っかかる部分があったので。そうすると、シンプルだけどギミックがあるものに辿り着き、急遽方向を変えてもう一案作ることになりました。それが今のデザインです。本の内容は胸がわくわくするようなストーリなので、そういったものがカバーにも表現できればと思いました。
 

─破れたところから出ているこの文字はなんですか?

実際の本文を素材として使用しました。そのページが本当に存在するのか確認したくなるようなデザインを心がけました。『みんなの少年探偵団2』63ページにあるので、ぜひ手に取って見てください。

─みんなの少年探偵団シリーズには既にカバーデザインのイメージがついているかと思いますが、このデザインに変えたのはどういった流れからなのでしょうか?

児童書ということで、子供向けではあるのですがこのシリーズは大人にも根強い人気があると思うんです。そのような方にも手に取っていただきたいという気持ちから、年齢層を広く取ったデザイン作りをしました。作家陣はもちろん、タイトルも目立たせたかったので怪しさというかアンティークっぽいフレームをつけました。私も既に書店で見かけているのですが、著者名を全面に押し出したものって意外と見かけないので、同じようなデザインが2つ並んでいることもあり、目に留まりやすいなと感じました。

─このデザインにかけた思いなどはありますか?

見た目はシンプルですがいろいろ仕掛けているので、そこを見ていただければと思います。作っているうちに、カバーのストーリー性が見えてきた時はどんどん楽しくなっていきました。たとえば、みんなの怪盗ルパンですが、「ライターの炎で燃やしてカバーに穴があいた→焼け跡から中の本文が見える→燃えて間もないので煙が上がっている→まだ小さな火が残ってる」といった風に、平面の中でいかにリアリティを感じられるかという点にこだわりを持ちました。3冊ともギミックが盛り込まれているので、読み終わってからもう一度見返してもらうと、気付いてもらえるのではないかと思います。

さらに今回は、販促用のパネルと販売台も手がけることができました。今回長く続く人気のシリーズに関わることができ嬉しかったです。パネルもカバーと同じように著者名を大きくとの要望がありました。もちろん、カバーのイメージをそのままでも十分インパクトはあると思うのですが、遊び要素も欲しいなと思ったんです。それなら、著者名がスポットライトを浴びたらどうだろう?と考えた結果、舞台をイメージしたデザインにしました。そちらにも注目していただきたいです。

あと、新刊なので書店では「みんなの少年探偵団2」と「みんなの怪盗ルパン」が並んでるんですけど…。実は「みんなの少年探偵団」を含めた3冊が同じスペシャル帯になっています。

今後どのようなデザインを手がけていきたいですか?

私が書店で目にとまるのがエンタメ系や仕掛けなどしてある本になります。
恐らく個人的にそちらが好みなのでしょうね。本に限らず広告や雑誌などで見かけると、どうやって応用できるかなと考えたりもします。今回、『みんなの少年探偵団シリーズ』、『みんなの怪盗ルパン』を手がけることができてとても嬉しかったです。今後も思考を凝らしたデザインを提案できればと思いました。あとは、自分の中で確立された答えが本当に正解なのか、一旦冷静になって考えることも心がけていきたいです。
 

『みんなの少年探偵団』シリーズ制作実績ページ
デザイナー 八木インタビュー記事