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『台湾の本事情』後編は、具体的に日本と台湾の本のつくりの違いなどを見ていきます。
新たな発見があるかも!?

日本の本から翻訳された2冊をご紹介します。

1冊目に紹介するのは、bookwallで日本版装丁を手がけた夏川草介さんの『本を守ろうとする猫の話』。

左が日本版、右が台湾版です。
宮崎ひかりさんの装画はそのまま。
まずはサイズの違い。前編でも少し触れましたが、台湾の本は少し大きめなのがわかりますね。台湾の本はほとんどがA5サイズでした。
そして日本と同じように帯が巻かれています。メインのキャッチコピーは「二十一世紀的銀河鉄道之夜」。

表4側はこんな感じ。右が台湾版ですが、『本を守ろうとする猫の話』と日本語でタイトルが入っています。
日本の書籍でも、タイトルの英訳などをデザイン的にあしらったりすることがありますが、それと似た感じなのかもしれません。

 

次に構造の違いを見ていきます。日本の本と台湾の本の大きな違い、それは「カバーが無い」こと。

 

日本の本は、こんな風に本文と見返し用紙を製本した上に硬めの紙の表紙がついており、その上に取り外しできる形で様々なビジュアルを施したカバーが巻かれています。
(書店に並んでいるときに見ている本の顔は【表紙】ではなく実は【カバー】なのです。)

台湾の本はカバーがなく、硬めの紙の表紙が折りこまれていて、日本のカバーのような形をしています。これは【がんだれ】という製本方式です。

この折り込まれた部分を『袖』といいます。(日本はカバー袖、台湾は表紙袖になりますね)

 

袖部分には、日本の場合は、著者のプロフィールや、同じ出版社の本か同じ著者の既刊などを紹介していることが多いのですが、これは『本を守ろうとする猫の話』とからめてでしょうか、【愛書興愛猫人必読】として猫関連の本を紹介しています。出版社も著者も異なる本をテーマでくくって紹介しているのはあまり日本では見ないので珍しいですね。ネット販売などではよくある「この本を買った人にはこの本もおすすめ!」みたいな感じでしょうか。日本でも【食べもの関連】や【お仕事小説】、【学園ミステリー】などジャンルで本を紹介するとさらに読者が広がりそうだと思いました。

 

中も見ていきましょう。

目次はこんな感じ。

 

本文は当然ながらすべて漢字!
そのせいもあってか、読みやすく少し文字は大きめに、行間などもゆったり組まれています。

 

奥付は猫のシルエットになっていました!

 

最後のページは愛読者カード的なものになっています。

 

 

2冊目に紹介するのは宮部みゆきさんの『過ぎ去りし王国の城』。

日本版はbookwallで装丁を担当しました。れなれなさんの黒板画を撮影したものがカバーになっています。(左)
(文庫化もされましたのでそちらもチェックしてみてください!)

台湾版(右)はまた違った雰囲気になっています。

 

帯のデザイン。日本語のタイトルも併記されています。

 

見返し部分には宮部さんのサインが印刷されています。

 

日本の小説本だと巻末に入っていることの多い解説的なものは、前に入っていました。

 

台湾の本と、日本の本の違い、いかがでしたでしょうか。
また旅行に行ったら本屋さんをのぞいてみたいと思います!〈村山〉