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連続したモチーフをダイナミックな構成で見せる小山萌江さん。モチーフは「モノ」でありながら、どことなく「ヒト」のような愛嬌を感じさせます。個々のディティールを魅力的に見せながら、いつまで見ても飽きのこない絵になっています。

 
-今回の3作品のそれぞれの製作時間を教えてください
 
ばらつきはありますが、線描きだけだと各数時間です。
いつも下書きはしないので、ちょっと違うかもと思ったら同じ構図で同じような絵を何枚も描いていきます。その時の勢いをそのまま作品に出したいと思っているので、このくらいの制作時間になるかと思います。
着色は毎回とても悩むので、さらに数時間~半日程度かかります。
 
-今回の絵のポイントを教えてください。
 
全体的に「消費されるもの」を対象物にしており、そこから感じられる哀愁や、群れの中での個々の位置や強さを描くように3点とも努力しました。
ただただ羅列しているように見えて、各々個性があり、こちらを見ている(ような)モノがいたり何か言いたげなヤツがいたり…。
人物や風景と違って、モノで感情を表現するのは難しいですが、色合いや、モノとモノ同士の重なり合い、角度、筆圧などから何か表せないかなといつも思っています。
でも、私の思惑は置いておいて、単純に「おもしろい」「なんだろう?」と気にして頂けたらそれだけで嬉しいことです。
 
 
-得意なジャンル、あなたの絵の『売り』は何ですか?
 
自分で「売り」と感じる所は、勢いとアングル、切り取り方。あまり意識しすぎるとうまくいかないのですが程よく意識して描くように心がけています。
作品のモチーフに選ぶのは「消費されるモノ」であり「羅列」「陳列」「整列」といった条件がそろったものが多く、描く人の人口が少ないジャンルというところも強みかもしれません。
展示などで「毒気がある」「好き嫌いが分かれる」「中毒性ある」と言われたことがあります。これも自分の「売り」なのかなと思います。
お仕事の時にはこの「売り」をうまくバランスとるように心がけています。
 
 
-やってみたい仕事やジャンルがあれば教えてください。
 
装画のお仕事はもっともっと「やってみたいお仕事」ですし、イラストレーターとして活動していくうえでずっとやっていきたい仕事だと思います。
文房具や雑貨のパッケージ、アパレルにも興味津々です。
 
-その仕事をしてみたい理由は。
 
自分の描いた作品が商品となり、社会に流通している様をはっきりと感じられることが大きいですが、自分の絵を「いいな」と思って商品(製品)に使っていただけたことと、「いいな」と思って買ってもらえたことを同時に実感できたとき、絵を描く楽しさを思い出したり、次に描く絵のモチベーションにつながったりするからです。
絵を描くに当たって、仕事に向き合うに当たって、まだまだ未熟なところは大いにありますが、どのようなお仕事でも、出来あがった自分の作品に自信をもって制作に励みたいと常々思っています。
 
 
小山萌江 web site
埼玉県生まれ、在住。雑紙の挿絵や装画など中心にフリーランスで活動中。
ザ・チョイス入選。ノート展入選。第16回TIS金賞。イラストレーターズ通信会員。