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重版が決まった「僕とおじさんの朝ごはん」の美味しそうなイラストを実際に作ってみました!

僕とおじさんの朝ごはん
著:桂望実
画:進藤恵子

ケータリング業者の水島健一は何事にも無気力な四十四歳。病死に見せかけ楽に死ねる「薬」の都市伝説に翻弄される人々を横目に、手抜き調理で依頼をこなす日々だ。
しかし、生意気な少年・英樹との出会いが健一の料理を変えていく。それと同時に「薬」の噂とも向き合うようになるが…。
真摯に生きることを拒んできた大人と、生死をまっすぐに見つめる少年の交流が胸をうつ物語。

今回は、このおいしそうなカバーイラストの朝ごはんを実際に作ってみました。

まず、進藤恵子さんによるカバーイラストがコチラ↓

外はサクッ、中はふわっともちっとしそうな厚めの食パン。
艶やかな黄身は今にもとろけてしまいそうな目玉焼き。
カリッとジューシーなベーコン。
色鮮やかな野菜。
見るだけでよだれが垂れてしまいそうなこの美味しそうで、食欲が湧いてくるこちらのイラスト。
実際に作ってみるとどうなるのか…やってみました!

 
今回調理を担当するのはbookwallにこっそりと生息している事務員。
 
実際に作ってみると、卵の焼き加減が本当に難しいです…。
(失敗した目玉焼きは、カバーデザインを担当した村山と事務員が美味しくいただきました。)
 

そして試行錯誤を繰り返し、約1時間……。

ついに完成しました!!それがコチラ!
 

ジュース、ジャム、ドレッシングに至るまで全て再現してみました!
グラスが同じものを用意出来なかったのが悔やまれますが…。
いかがでしょうか!?

さらに、文字も入れて比較してみました。

左がイラスト、右が写真です。

写真で美味しい料理を再現するのはとっても難しい!
イラストはより温かみを感じますね。大きなベーコンも美味しそう!
絵は匂いや温度、味の想像が広がるとともに、感情が宿る気がします。

 

この本の著者、桂望実さん、担当編集者の三浦由香子さん、装画を担当された進藤恵子さんにコメントをいただきました。

著者:桂望実さん
自分の命は自分だけのものなのか――。
命をテーマに小説を書こうと思いました。それは初めてのことでした。
登場人物の多くがそれぞれの事情と考えをもち、命と向き合っています。
真正面から向き合っている人もいれば、逃げることでなんとか毎日を過ごしている人もいます。
彼らがそんな中からなにを見つけて、なにを望むのかを描きたいと思いましたが、それはとても難しい挑戦でした。
ぐうたらなおじさんと、生意気な少年がじゃれ合うシーンの奥底に潜んでいる寂しさや痛みを、ちゃんと書けたかのかどうか……。これは読者の皆さんに判断いただくしかないのですが、ちゃんと届いているといいなと心から願っています。

 

担当編集者:三浦由香子さん
本書のお原稿をいただいたのは、2014年のこと。その後、単行本になり、文庫になるまで、何度も何度も読み返しました。あるときは、ガヤガヤとうるさい編集部の席で。またあるときは朝方のファミレスで。最近は、やっと寝た2歳児を起こさぬようにひっそりと過ごす自宅のリビングで。状況は変われど、読むたびにいつも同じ場面でううっと涙ぐみ……そして、お腹が空く!この貴重な体験を読者の皆さんにも味わっていただきたく、「とにかく美味しそうなカバー」を目指しました。進藤恵子さんのイラストと、装幀のおかげで、作品の魅力が120%伝わる文庫ができあがり、ありがたい限りです。ぜひ、店頭でお手にとってみてください。

 

装画:進藤恵子さん
「目玉焼きとトーストの朝食をとにかく美味しそうに」という依頼に、明るい朝の日差しに映える元気いっぱいの朝食を、ぼんやりとイメージしていた私。
でも頁を進めて行くうちに想像が間違っていたと気付く。じわじわと秘めた部分が見え隠れして、明るいだけでは済まなくなり始める。空の色面に墨汁がぽ
たりと一滴、広がり混ざって行くよう。それはいつの間にか空の青に飲み込まれ、最初の空色に戻る。次の頁でまた一滴、ぽたりと混じる。でも混ざってしまえば分からない。そしてまた一滴。また一滴。そして少し、はじめの水色ではなくなってきた所に、お腹が空いてしまうほど丁寧な描写で登場する朝ごはん。この朝ごはんの背景に選んだ水色は、明るさの中に幾滴かの墨の混ざる色。目玉焼きとトーストを描きながら決めたその背景の色は、私がこの物語に入り込んで見て来た色なのです。

 

調理担当:事務員
本を手に取った時、「これ実際に作ってみませんか?」と言った事がきっかけでした。
実際に作ってみると、卵の黄身の位置や、黄身をツヤツヤさせたまま白身をふんわりと焼くという事が難しかったです。
添えられている野菜も、色が綺麗に出るように工夫しました。自己評価としては60点くらいでしょうか…。
読んでいるだけでお腹が空いて、さらにこのイラストでよだれが出てきそうな、そんなニュアンスをうまく伝えられていればいいなと思います。
またこういうチャレンジをしてみたいです!